① 純粋なシリコン — なぜ電気が流れない?
シリコン原子の最外殻には電子が4個。隣の原子と「共有結合」で4個ずつ電子を出し合って、安定した結晶構造を作る。
シリコン結晶(クリックして電子を見る)
シリコン原子(Si)
共有結合の電子
共有結合
電圧をかけてみる
電圧をかけても、すべての電子は隣の原子との結合に縛られていて動けない。だから純粋シリコンは絶縁体に近い。
💡 もうちょい詳しく
シリコンは原子番号14。電子配置は [2, 8, 4]。最外殻の4個が「化学的に重要」で、隣のシリコン4個と共有結合を作って8個分の電子を共有することで安定する(オクテット則)。
この状態では電子は「自分の場所」に縛られていて、自由に動けない。電気は「電子の移動」だから、動けない=電気が流れない。
② ドーピング — 不純物で電気が流れるようにする
純粋シリコンに「リン (P, 電子5個)」や「ボロン (B, 電子3個)」を少量混ぜると、電気が流れるようになる。原子をクリックして変身させてみよう。
原子をクリックして変身させる
シリコン (Si)
リン (P) → N型
ボロン (B) → P型
自由電子(動ける)
⚪ ホール(電子の穴)
電圧をかけて電子・ホールの動きを見る
自由電子
0
ホール
0
電流
なし
N型=自由電子が動く(マイナスの電荷キャリア)。P型=ホールが動く(プラスの電荷キャリア)。
不純物は1ppm(100万分の1)のレベルでも電気的性質を激変させる。
不純物は1ppm(100万分の1)のレベルでも電気的性質を激変させる。
③ トランジスタ — N-P-N サンドイッチでスイッチを作る
N型とP型を3層に重ねると「電子のスイッチ」が出来上がる。ベース電圧で大電流をON/OFFできる。これが0/1の正体。
NPNトランジスタ
電圧コントロール
コレクタ→エミッタ間には常に5Vかけてある。
スライダーでベース電圧を変えてみて。
スライダーでベース電圧を変えてみて。
トランジスタ状態
OFF
出力(コレクタ電流)
0
VBE < 0.6V:ベース-エミッタ間のPN接合がOFF → 電流ゼロ → 「0」
VBE > 0.7V:PN接合がON → 大電流流れる → 「1」
VBE > 0.7V:PN接合がON → 大電流流れる → 「1」
💡 なぜスイッチになる?
NPN構造の中央のP層(ベース)はとても薄く作られている。普通ならN→Pの境界で電子は止まるはずだが、ベースに少し電圧をかけると、エミッタ側のN型から大量の電子がベースを「突き抜けて」コレクタ側のN型に流れ込む。
つまり「ベース電圧という小さなツマミで、コレクタ電流という大きな水流をON/OFFできる」。これが増幅作用、そしてデジタル回路ではスイッチ(0/1)として使われる。
現代CPUには数百億個のこの構造が詰まっていて、毎秒30億回ON/OFFしている。
④ 論理ゲート — トランジスタを組み合わせて論理を作る
トランジスタを2〜数個組み合わせると、AND・OR・NOT・XOR といった「論理演算」ができる。ボタンをクリックして入力を切り替えてみよう。
NOT ゲート
真理値表
💡 トランジスタで実装すると?
⑤ 1+1 を作る — 半加算器(Half Adder)
XOR と AND を1個ずつ組み合わせると、1ビットの足し算ができる。これがCPUの最も原始的な演算の正体。
半加算器を体験する
S(Sum, 和) = A XOR B
C(Carry, 桁上げ) = A AND B
→ 2進数で
C(Carry, 桁上げ) = A AND B
→ 2進数で
A + B = CS(CSは2桁の2進数)
真理値表
🌟 おさらい:ここまで来たら
シリコン原子 → 不純物添加 → トランジスタ → 論理ゲート → 加算器 と積み上げて、今まさに足し算ができる回路を体験しました。
現代のCPUはこの半加算器を 32〜64個直列につないで「32bit/64bitの足し算」を実現し、それを 毎秒30億回 回している。それだけで「計算機」は完成。
あとはレジスタ・メモリ・命令デコーダなどを組み合わせれば、本物のCPUになる。
現代のCPUはこの半加算器を 32〜64個直列につないで「32bit/64bitの足し算」を実現し、それを 毎秒30億回 回している。それだけで「計算機」は完成。
あとはレジスタ・メモリ・命令デコーダなどを組み合わせれば、本物のCPUになる。